◆作者：崖熊野/崖南キョウ[※山扁に喬]◆作品：陶淵明採菊画賛竪物◆材質：絹本着色(真筆作品)◆款記：「熊野老人題」/「紀藩 南キョウ[※山扁に喬]樵者寫」◆印章：「弘毅之印」白文方印 「剛先」白文方印 「名教中有樂地」白文長方印/「弘美之印」白文方印 「世煥氏」白文方印◆内容：「聊吟托羲皇欲身與世忘雖/貧琴酒在但願稲粱長五斗/曾休折三徑不復荒已無麻/姑道可歎歴滄葉」◆寸法：本紙111.1×39.4cm 総丈192.8×50.6cm◆付属品：合わせ箱(桐箱)◆状態：シミ汚れ。やや巻き癖あり。
【崖熊野(きし・ゆや)】享保19年～文化10年(1734－1813)和歌山城下の紀伊国海部郡雑賀(現・和歌山市)の崖次助弘載の三男に生まれる。崖次助はのちに紀伊国牟婁郡新宮(現・新宮市)に移ったため、一説には新宮生まれとも。名・弘毅、初名・順輔、通称・権兵衛、字・剛先、号・熊野。寛政2年(1790)第10代藩主・徳川治寶(1771－1853)に学才を認められ和歌山藩の儒学者となる。藩命により地誌『紀伊続風土記』の編纂に携わるなど儒者としての活動のほか画事を能くした。実子がなく甥の崖南キョウ[※山扁に喬]を養子とし跡を嗣がせた。
【崖南キョウ[※山扁に喬](きし・なんきょう)】明和6年～天保5年(1769－1834)町人・雑賀屋仁兵衛の三男に生まれる。名・弘美、通称・順蔵、字・世煥、号・南キョウ[※山扁に喬]。寛政3年(1791)叔父で和歌山藩藩校・学習館の講官であった崖熊野に実子が無かったためその養子となり、文化10年(1813)養父・熊野が病歿したため家督を嗣いで藩の儒学者となる。第10代藩主・徳川治寶(1771－1853)の命で障壁画を描き褒賞を受けるなど画事にも長けた。江戸詰の折に藩邸の書室に多数の薬草花卉の盆を育てて「四時窓」と名付けた。尾張藩木曽代官・山村蘇門(1742－1823)より「四時窓詩集序」を贈られ、また蘇門が文化13年に江戸赤羽橋賜亭にて開催した雅会を記録した『暢情集』に「清音亭池園」の図を描いて寄せた。

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